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その3・生きもの好きな私         

その1。(00.11.05up)

このホームページで「シーモンキー」のコーナーを立ち上げたんだが、(注・今は削除されました)私は田舎育ちゆえ子供の頃からこういう虫とか魚とか 小動物の類が好きであった。
やっぱ田舎なんで海や山が近く、また祖父が生きていたときは広大な畑もあったんで(祖父の死去とともに「相続税」として国に没収徒・・・ひとし君人形はなし) そういう生き物が身近だったんだろう。
ハムスター犬、ハツカネズミ、金魚なんかも飼った事があるが 自然のなかから拾ってきて育てたものもある。 カメ、メダカ、ヤモリ、クモ、エビ、イサキ、ウミウシ、ヒトデ、逃げてきたインコ、ニワトリ・・・
とりあえず「何かを見つけては捕獲して飼う」という生活だったような気がする。飼われた生物も迷惑だろうが。

さて、そんなお茶目な子供時代を過ごした私だが 中学時代には「学校内で一番怪しい変態集団」と噂されていた「弓道部」に所属し倶楽部活動で大切な青春を棒に振っていたんだが
(この「萩一中弓道部」というのが 思い起こせば諸悪の根源だったような気がする。なんせHCFMメンバーは ほぼ全員ここで揃ってしまったからな・・・。)
高校では「弓道部」というのは存在しなかったので、何か別のクラブを見つける必要があったのだ。
いや、別に課外クラブは 嫌ならわざわざ入部する事もないんだが 「なにか入部してないとマズいんじゃないか?」という気持ちが頭のどっかにあったのだろう。
「なんとなくのんびり出来て つらくもなく、興味が持てるクラブ活動はないのだろうか?」という事に重点を置いて 適当なクラブを探していた。
そこに 私と全く同じ経緯と不純な動機でクラブ活動を探していた男がいた。HANTである。
(おもえばこの男、私と精神構造がほとんど変わらないんで最初に出会った小学校の頃からつるんでいるぞ。高校に入ってから 後に「あるらうね」という恐怖集団を結成したTARO先生の手下として彼の思いどうりに操られるところまで一緒だ。)

さて、2人して「何のクラブに入ろうか?」と入学の栞の「クラブ紹介」の記事を読んでいると 何やら興味深いクラブを発見した。
「科学部生物班」である。

・・・「科学部」と銘打つからには たぶん顕微鏡で微生物を観察したり、もしかしたらネズミを飼って遺伝を調べたりするんだろう。小動物を育てながらラブリーにクラブ活動できるんなら いいんじゃないか?・・・・そう考えた私とHANTは「とりあえずどんな活動をするのか 話だけでも聞いてみよう」と 部室を訪れようとした。
・・・・・そういえば「部室」ってどこにあるんだろうか?生物教室に行っても誰もいないし・・・。もしかしてほとんど活動をしてないクラブかもしれないな。尚ケッコウ!!
「しょうがない、教員室に行って 顧問の先生に活動内容を聞いてみよう。」と職員室に生物の先生を訪ねることにした私とHANT。

生物の先生を発見した我々は 恐る恐る近づき、「あのぉ、僕たち 生物部に興味があるんですけど・・・」と声をかけた。 

・・・・・・・・・・・・・・・中学生の頃 散々悪名を轟かせた「弓道部」に続いて 「科学部生物班」の存在が「H高校に怪しげな集団あり」と噂になってゆく第1歩であった・・・・・。


その2。(00.11.13up)

職員室で生物のI先生とコンタクトを取る事に成功した私とHANT。 が、そのときI先生が発した言葉は意外なものだったのだ。
「おお、君達・・・!そうかそうか。おほおほおほ(←笑い声)。」 何故か先生は事の他喜んでいるように見えるが?
「実は生物部は部員が一人もいないんで 今は名前だけになっているんだよ。おほおほおほ。 でもせっかく『やりたい』と言って君達が来てくれたんだ。よし!一緒にやりましょう!!おほおほおほ・・・。」
・・・・し、しまった!!確かにヒマそうなクラブを探してはいたが まさか誰も部員がいないとは・・・!しかも先生は生き甲斐を見つけたかのように「おほおほおほ」と不思議な笑いを浮かべているし・・・。幽霊部員のように目立たぬようにクラブ活動をしたかったんだが これではマン・ツー・(2)マンではないか。

その次の日から名前だけしかなかった幻のクラブ 「科学部生物班」は何年か振りに 私とHANTという優秀な研究員を得て 不死鳥のように復活したのだ。
で、最初の日。「これからいかなるテーマで研究をするか」という事を話し合うため理科準備室(後の生物班部室)に集合した3人であった。
「どんな実験をしましょうかねぇ。おほおほおほ。 でもありきたりな実験は面白くないですし・・・・何かやりたいことはありませんか?」
・・・う〜ん、急にそんな事を言われても・・・変わったことと言ってもなあ。
「あまり観察されていない変わったものと言ってもなあ。今の季節(5月)で変わった生き物と言っても田んぼの『豊年エビ』とか『カブトエビ』くらいしか・・・。」
うっかり私が呟いた言葉にキラリと眼を光らせるI先生。 「しまった!!」と思った瞬間 先生が叫んだ。
「カ、カブトエビ!???なんなんですか?それは!!」・・・余計な事を・・・という言葉にならないHANTの声が私にはハッキリ聞こえたが こうなってはもう後には引けまい。カブトエビと豊年エビが今の時期に田んぼに大量発生しているのを登下校の時に見つけたことを先生に教えると
「それは面白そうですねぇ。おほおほおほ。ではそれを観察する事にしましょう。」
完全にやる気の無い私とHANT。「えっ?そんなものの何を観察するんですかぁ?」
「まず基礎的な実験として『集光性』でしょうね。おほおほおほ。カブトエビとやらが光を好むのかどうか、どういう行動パターンをするのか調べてみましょう。おほおほおほ・・・・。では、2人で田んぼに行ってカブトエビを取ってきてください。おほおほおほ・・・」
放課後 みんなが下校している中、手網とバケツを持って田んぼでカブトエビを採取している謎の高校生、私とHANT・・・。
「なんでわしらは高校生にもなって田んぼで網を振り回して得体の知れない生物を捕獲せにゃならんのだ?BARAよ・・・。」 「わしに言っても知らんがな」
「なにしてんのー?」
と小学生の見守る中、なんとか数匹のカブトエビをGETしてI先生の元に戻ってきた。
水槽に放たれ元気良く泳ぎ出すカブトエビ。
「では行動パターンを調べましょう。」といってスケッチブックを我々に渡す先生。 「これで何を・・・???」
「水槽の絵を描いて カブトエビの動きを線で記録していくのです。なにか面白い行動パターンがあるかもしれませんよ〜〜〜。おほおほおほ」

どうみても水槽の中を好き勝手に動き回って規則性があるとは思えないが?しかし「馬鹿馬鹿しい」とは思いつつもカブトエビの生態なんて知らないのも事実だからな。
ここは素直に先生の指示に従うとしよう。
・・・・・・・カブトエビの動く通りスケッチブックに鉛筆で線を引いていく私とHANT。そのスケッチはあたかも精神に異常をきたした人が書いたようなぐちゃぐちゃな線であった・・・。
「う〜ん、規則性はないようですねぇ。おほおほおほ。」 そんなものは最初から判っていたような気もするが、科学と言うのはいかに馬鹿馬鹿しい内容でも「実験」という裏づけが必要な学問なのだという事を思い知らされてしまった。科学も極めると深いな。
「では光に対しての反応を見てみましょう。おほおほ」 カブトエビに懐中電灯を当ててみる研究員。 おお、懐中電灯から逃げていくぞ!!カブトエビは光が嫌いなのか???
そのときHANTがこそっと呟いた。 「・・・・これ・・・、ただ単に『嫌がっているだけ』じゃないのか? その証拠にライトを消した懐中電灯を近づけても逃げていくぞ。」
むう・・・・・・・。

結論!!カブトエビは人が嫌いだ!!

科学部生物班の第1回目の研究はこうして素晴らしい成果を残して終了したのだった!!


その3。(00.11.20up)

「このように生物の『集光性』を調べてみると色々な面白いことが判るのです。おほおほおほ」
前回、カブトエビの集光性の実験で我々は輝かしい成果を上げたものの,所詮カブトエビは自然界でもホンの数週間のシーズンしか生きていない動物だ。研究室のカブトエビもご多分に漏れずあっという間に壊滅してしまったぞ。(なんか共食いとかして自滅したような気もするが・・・)

「で、次の実験ですが 今度は植物について観察してみましょう。おほおほ。」
と、脇から一本のクヌギの木株を取り出すI先生。
いや〜な予感が私とHANTを襲う。
「植物が光の方に向かって成長していくことはよく知られてますね? では『光とあまり関係ない所』の育つキノコはなぜ上に上に育っていくんでしょうか?」
・・・・知らんがな。そんなこと。
「そこで考え付くのが『重力』です。キノコは何らかの形で重力を感知し上に成長していくと考えられますね。おほおほ。 では無重力の世界ではキノコはどういう成長をするんでしょうか? 今回はこれについて調べてみましょう。おほおほおほ。」

・・・むう!「無重力の中でキノコがどう育つか」なんて(考える必要もなかったから)今まで疑問にも思わなかったが、たしかに知らないことではあるな。
なんか ただ単に「この先生が知りたいから調べる」という気がしないでもないが とりあえず実験だ!!
「では『無重力発生装置』を用意しましょう。おほおほおほ。」
な、なんと!さすが萩で唯一の進学校だ。(て、ゆうか唯一の普通科高校・・) そんな真田さんもびっくりな機械を所有しているとは!だいいち「無重力発生」という言葉自体がおかしいような・・・。

「これが無重力発生装置です!!」はたしてそこに出されたものは巨大な鉛筆削りのような物体であった・・・。
「こ、これは??」
「この軸のところにシイタケの株を植えてある木をセットするのです。」 
先生が椎茸の苗木をマシンの先にセットすると おもむろに電源を入れた。ハエが止まるのも可能なほどのスローモーな回転を始めるマシン。むう・・・完全に名前負けだ・・・。
「1時間に一回転のペースで回転します。これで無重力と同じ状態になるわけですね。おほおほおほ。」
かわいらしいシイタケの芽が一本だけ生えている木株が ゆっくりゆっくり回転する様を見ながら 脱力感に襲われる私とHANT。 しかしどうでもいいが この装置はこの実験以外には使い道がないんではないのか?

では、この「無重力」という環境のなかでキノコは一体どういう成長を遂げるのだろうか?読者の皆さんも考えてみましょう♪
 
1・とりあえずまっすぐ伸びる
2・笠は大きくなるが何処に茎を伸ばして良いのか判らず 寸胴な形になる。
3・ろくろっ首みたいにこの世のものとは思えない形になる。


私は個人的に3番みたいになれば面白いと思っていたんだが・・・・。

1週間後、研究室に立ち寄った私とHANT。 さっそく機械にセットされたシイタケを観察するのだが、そこで我々は予想だにしない結果に驚愕したのだった・・・!!
「むう、全く成長してない!! 無重力状態ではシイタケは成長しないのか!?」
「いや、良く見ろBARAよ! なんか妙に固くなっている気がするぞ!!」・
・・こ、これは新発見だ!!

結論(2)!!無重力状態でシイタケを1週間も放置すると干し椎茸になるぞ!!

キノコを育てるときは湿気を与えないとダメだぞー・・・。(無重力は関係ないやん・・・)


その4。(00.12.04)

「やはり普通の実験をしないとダメなんではなかろうか?」そんな思いが私とHANTの頭に浮かんでいた。さすがにこれまでのような「誰もした事のない実験」は科学の発展のためには必要不可欠なんだが、入部して数週間の我々にそれを求めても無理と言うものだろう。
あらかじめ判っている結果を求めて実験する・・・ビギナーにはそれが学問を追及する第1歩であろう。
I先生もやはりその事に少しは気付いたのであろう。ある日の放課後 我々を理科準備室に呼び出してこう言った。
「プラナリアの再生実験をしましょう。おほおほ。」

・・・・「プラナリア」という生き物を知っているだろうか?普段お目にかかることはあまりないと思うんだが 理科の実験では比較的有名な生き物だ。ヒトデのように再生能力が優れていて「どこで切ってもなくした部分を再生する」という生命力の強い生き物だ。
これを興味本位に切り刻んで「命の尊さを笑いながら知ってしまおう」というのが今回の実験の趣向らしい。(おい・・・。)
「ではプラナリアを採取しに行きましょう!おほおほおほ。」 ・・・って言われてもそんな生物 どこにいるんだ?
このプラナリアと言う生き物は環境に非常に敏感で 切り刻まれても生き延びるくせに汚い川では生きていけないらしい。全く・・・融通が利かないなあ。
と、いう訳で 授業が終わって「かったるいから早く家に帰りたい」と心の中で呟いている私とHANTを乗せて 先生の車は隣村の清流までの長いドライブの旅に出発したのだった。

当時はあまり車に乗る機会もなく、おまけに道路は整備されてはいるが山道を延々と走るので 先生のノロノロ運転は空腹の我々には結構こたえたぞ。
しかも目的地の場所も距離も我々には告げられてなかったんで 「このまま何処かに連れ去られるのでは?」と、一抹の不安が・・・。
何もない山道を走る事 小1時間、一軒の小さい商店(もちろん当時はコンビニなんてないぞ。食品から日用品まで置かれている村の小さな雑貨屋だ。)があるのを発見した先生が一言。
「おほおほ。車の中で長くいるとお腹も空くでしょう。なにか食べるものでもおごってあげましょう。」
やった!ジュースでもおごってくれるのか!? さすがに先生も 若い我々に気を使っているのだろう。なんか高校生の部活らしくなってきたなあ。・・・などとニヤニヤしながら店に入った先生の帰りを待つ私とHANT。この頃から食い意地だけは人一倍だったからなあ。

しばらくして先生が紙包みを小脇に抱えて車に戻ってきた。
「さあ、お腹が空いたでしょう。おやつにテンプラを買ってきましたよ。腹ごしらえにこれでも食べながら進みましょう。おほおほおほ。」
我々の田舎は漁村なんで「テンプラ」といえば通常「練り物の揚げ物」の事を指すのだ。 魚オンリーで作られたさつま揚げみたいなものか。 しかし何で車に揺られてへばっているのに 子供のわらじ位の大きさの油ギトギトの練り物を食べなければいけないのだ?
車酔いと油っぽいおやつに思いっきり胸やけを起こしながらも なんとか標高の結構ありそうな村の真ん中を流れる小川に到着。
「このあたりで良いんではないでしょうか?さあ、川に入って石の裏にいるプラナリアを探しましょう!おほおほ。」

「このあたりで・・・」というくだりで 先生が目標もなく適当に車を走らせていたんだなあ、と薄々感づいた我々だったが 早く帰りたいのでさっさとプラナリアを見つけるため 黙々と小川のなかの石をひっくり返していく私とHANT。しかし時期的にマズかったのか そのような生物は見当たらないが・・・。
「黒いナメクジみたいな生き物ですよ〜!!おほおほ〜!!」 ズボンをまくって膝まで冷たい水に浸かりながら怪しげな生き物を探している我々に 川の土手から無責任に指導する先生。
しかしいくら探しても何の生き物も発見できず 途方にくれていたときだった。石の裏にへばりついている米粒ほどのウニウニ動く生命体をついに発見したのだった!!

「やった、先生!それらしきものを見つけました!!」
喜び勇んで先生に報告する私。 「おう、たしかにプラナリアみたいなものだなあ。」HANTも「それがそうであって欲しい」という願いを込めた相槌を打つ。
「う〜ん、ちょっと小さいですが 今の時期こんなもんでしょうかねぇ。まあ、このプラナリア(みたいなもの)を早速学校に持ちかえることにしましょう。おほおほ。」

何事も「やり遂げたあとの達成感」は素晴らしいものだ。「これで実験が進められる」と喜びながら 学校に戻る教師と教え子達であった。

豆粒のような貴重なそのプラナリア(みたいなもの)を理科実験室に持ちかえった我々は早速 切り刻み実験を開始することにした。丁寧にシャーレにそれを移し先生の指示を仰ぐ私とHANT。
「ではさっそく再生実験をしてみましょう。縦に切ってみましょうか?横に切ってみましょうか? そうそう、縦に半分くらい切り目を入れて頭の2つあるプラナリアにしても面白いですよ。おほおほ。」
気のせいか少し良心が痛むが これも科学のためだ。ちょっと我慢してくれ、プラナリア(みたいなもの)君よ・・・。
器具の格納されている棚で適当な刃物を探していた先生は 解剖用メスを我々に与えて縦に切るように指示を与えたのだった。しかし個体があまりにも小さいんで綺麗に切るのは至難のわざだな。
「では切ります!!」解剖用メスさえ相当でかいような気もするが 生体にあてがって見た。すると・・・・・。

「ぷちっ」という感触とともに嫌な感じの液体がソレからにじみ出てきたぞ。・・・・・う〜ん・・・・・。

結論(3)!!プラナリアは綺麗に切れば再生するが 潰したら死ぬぞ!!

おかしいなあ、今回は真っ当な実験だったはずなんだが また新発見をしてしまったぞ。
・・・・・その前に こいつは本当にプラナリアだったんだろうな???


その5。(01.05.20)

人に言えない様々な活動を地道に行ってきた 我等が科学部生物班ではあるが ついにその活動の成果を発表する機会がやって来た。

そう、文化祭である。

我々の通った高校は県立の普通校であり、文化祭と言っても平日に校内の生徒だけで楽しむ ごくごく内輪なものだ。
私立高校みたいに一般のお客さんがくるわけでもなし、華やかさも色気もない いわば普段の授業の延長みたいなものなんで 自分から参加するというと言うより「言われたから仕方なくやらされている」という感じかな?
クラブ活動をしている生徒、とくに文科系の部活の場合、その存在をアピールする唯一の機会なので 発表の内容には熱が入り 文化祭に賭ける意気込みは凄まじいものがあるのだ。

・・・・顧問の先生は。

文化祭まで数日を控えたある日、部員の私とHANTの両名は「文化祭で我々科学部生物班が何を展示、発表するのか」を決めるべく I先生の下に召集された。
葉脈標本を作りましょう!おほおほおほ(←笑い声)・・・」
話し合いをするまでも無く、先生の頭の中にはすでに構想が練り固まっていた様子・・・。まあ別に何も考えてなかったし 自分から進んで「これがやりたい」という案もなかったんで良いんだけど。

葉脈標本・・・みなさんももしかして授業なんかで作ったことがあるんでは無いだろうか?
葉脈のしっかりした固めの広葉樹の葉っぱを 酢酸だか何だかに漬けてやわらかい部分を溶かし、葉脈だけにする、というアレだ。
この葉脈にラッカーで色や艶を付けてやり、ケント紙などに貼り付けて「葉脈標本の栞」が出来上がり、というわけだ。なんか女の子っぽいし いかにも文化クラブ的な発想だな。

「じゃあ、早速葉っぱを取ってきます。椿とか南天みたいな葉っぱで良いんですね?」 
なんやかんや言ってもそういう作業が嫌いではない2人ではあったが そこに「待ちなさい」と先生が一言。

「やはり折角の文化祭、『葉脈標本』だけではパンチがありませんね。おほおほおほ。 そこで思いついたんですが『プラスチックのアクセサリー』というのはどうでしょうか?おほおほおほ・・。」

先生の言う「アクセサリー」とは 型に液状のプラスチック樹脂を流し込み その中に貝殻なんかを入れて固めれば ちょっとお洒落な置物が出来るんじゃないか?と、言うものだった。
なるほど、葉脈標本より子供心をくすぐるものではあるな・・・。

「わかりました、じゃあ貝なんかも拾ってきます。」さっそく子供心をくすぐられた2人であった。
「クワガタなんかの甲虫でも面白いですよ。これなら女の子も喜ぶかも知れません。おほおほおほ。」
・・・・・なんか おのれが女子生徒に受けたいがために我々を操っているような気がしないでもないが・・・・さっそく外に出て 標本となる生贄を物色する私とHANT。

**********

狩りが終わって部室に戻ってきた2人。

「先生、貝殻は海で、葉っぱはその辺で千切って来たんですが どうしても適当な甲虫がいなくて・・・カナブンくらいしか捕まえられませんでした。」
ビニール袋に捕らえられた一匹のカナブンが妙に哀れみを誘う。

「カナブンですか・・・まあ仕方ないですね。あまり見栄えは良くありませんが 甲虫だから出来ないことはないでしょう。ではさっそく標本にしましょう。おほおほおほ。」

まず葉脈標本。作り方は(なんせ20年前のことなんで)もう忘れたが たしかビーカーの中に酢酸を入れ そのなかに葉っぱを入れてアルコールランプで熱して数分で出来上がり、という手順だったと思う。部屋の中に充満する酸っぱい匂いにクラクラしながら作業を黙々と続ける2人。
出来上がった葉脈はしばらく新聞紙などにはさんで乾かし、その後着色、ニスで艶出しをするわけだ。

平行して「アクセサリー」の製作に取り掛かる。型の中に拾ってきた貝殻やバフンウニの殻なんかを置き、その上から液状のプラスチック樹脂を流し込む。これで固まれば型から取り出し、紙やすりでバリ取り、形を整えて完成。両方ともお手軽と言えばお手軽だな。

さて・・・問題は箱の中でゴソゴソ動いている 哀れなカナブンだが・・・

「う〜ん、このままでは樹脂を流し込んでもうまく標本になりませんねぇ。おほおほおほ・・・じゃ、殺しましょう(!)」

残酷なことを平気で口走りながらも目が笑っているI先生。 哀れだが科学の発展の為には尊い犠牲は付き物・・・学問の為ならば涙をこらえて非情にならなければならない、というのも我々 科学部生物班に与えられた使命なのだ・・・!
ゆるせ、カナブン君、そして立派なアクセサリーになってくれ!!

「殺す」といっても 心やさしい我々は殺虫剤で殺すような残酷な真似は出来ない。 で、今回のカナブン君の死刑執行には「出来るだけ自然に近い死に方を」という思いやりから「餓死」がチョイスされた。今考えると一番残酷なような気もするが・・・

「ビンにいれて蓋をすれば餓死、または窒息死するでしょう。おほおほ。」
という先生のナイスなアイディアを 実行に移す処刑人の私&HANTであった。

虫の命は儚いもの・・・しかし一寸の虫にも五分の魂、意外としぶといカナブンであったが、「なかなか死にませんねぇ、おほおほおほ」といいながらビンをカラカラと振り、徹底的に弱らせる先生の責めを受けつづけた彼は 3,4日間後にその短い生涯を終えたのだった・・・。
命の大切さを痛感した我々は この哀れなカナブンの遺体をプラスチックに封じ込め アクセサリーとして丁重に葬ったのだ。立派な生涯だったぞ!カナブン君!!

「これは文鎮にも使えますねぇ、おほおほおほ。」・・・先生もご満悦だ。

このようにして作られた即席の研究結果は 文化祭で華々しく校内生徒に披露された。葉脈標本の栞なんかも所詮「金をもらってまで売れるようなものではない」ので 展示室に来た希望者に配られたのだった。(主に女子生徒・・・)
展示スペースにふらりとやって来た女子高生の2人組が 早速「カナブンのアクセサリー」を発見した。うれしそうに作り方の解説をはじめるI先生。

「これって、わざわざ殺して作ったんですかあ? かわいそぉ〜」

・・・・まあ、普通の人の感想だな。 製作した我々でさえ そう思っているんだから・・・そこに慌てて口をはさむ I先生。

「いやいや、そんな残酷なことはしないよ。これは死んでいるのを拾ってきてプラスチック樹脂を流し込んだんだよ。こうすれば虫もずっとこのままの形で残るでしょう?おほおほおほ。」

「そうかあ・・・。よかった♪」


和気あいあいと語らう女子生徒とI先生の会話を 掲示ボードの陰で目頭を熱くしながら聞く BARAとHANT・・・。

このようにして即席で作った展示物ではあったが 科学部生物班の公式デビューとなった文化祭は 隠密で訪れた校長先生に「生物部の日ごろの地道な努力の成果に感動した」と、全校生徒を前で言わしめ 無事終了したのだった・・・・。


その6。 (01.10.20update)

前の年までは名前しか存在しなかった幻の倶楽部 「科学部生物班」も わたしとHANTという部員を迎えて甦ってから そろそろ一年が経とうとしていた。
もうすぐ進級という3学期のある日、我々はまたもやI先生に職員室に召集をかけられていたのだった。

「4月から新入生もやってきますが、生物班も新しい部員を勧誘しなくてはいけません。 あなた方もいよいよ先輩ですね。おほおほおほ
(←笑い声)。」

むう、我々にはクラブの先輩と呼べる人もいなかったが そうこうしている間に 我々みたいな人間でもいつのまにか先輩になってしまうんだなあ・・・。時の流れと言うものは非情よのぉ・・。
しかし本当にこんなクラブに入部しようと思う新入生は存在するのかな?

「で、その前に・・・今まで大切なことをすっかり忘れていましたが、後輩を迎え入れるにあたって このクラブも『部長』(班長?)を決めなければなりませんね。おほおほおほ。 あなた方のどちらかで部長を決めましょう。」

む!!確かに今までは3人で和気藹々と研究を重ねていたし 必要性も感じなかったんで部長がいないことに何の疑問も感じなかったぞ! て、ゆーか ほとんど先生の独裁政治だったような気もするが・・・
しかしこのクラブの部長になったからといって 何かメリットとか権限なんて得られるのか? 単に「怪しいクラブのリーダー」という汚名を被るだけではないのか??
そんな疑問が頭をよぎる私とHANT・・・なんとかそんなめんどくさい立場は避けたいものだが どちらかが部長にならなければ後輩に格好がつかないのも事実・・・。

「まあ、今決めなくてもいいですから 考えておいてくださいね。おほおほおほ。」


悲痛な顔をして職員室を後にする2人・・・そのあと私とHANTは この緊急事態をうまく回避すべく 2人だけのミーティングを始めるのだった。

「・・・部長か・・めんどくさいのぉ。しかし本当に新学期になったら入部希望者なんかいるのかのぉ・・。」

「しかし部費の確保と言う問題も絡むから 新入部員も勧誘せざるを得ないだろうし、そうなると部長という存在も必要なんだろうな。 しかし俺とお前の二人しかいないから どちらかが部長にならないとまずいんだろうな・・・。」

「う〜ん、そういうめんどくさいのは遠慮したいなあ。 ・・・いっそ今度入ってくる(だろう)新入部員に部長をやってもらうと言うのはどうだ?」

「そうか!二人しかいないからこういう問題が起きるんだ!! 新学期がはじまるまでのあと2ヶ月で 部長という大役を引き受けてくれる奴を生物部に引き込めば 我々もそういうめんどくさい役職から逃れられるぞ!!」

「むぅ!巧く行けばこれまでのようなつまらない活動も あやしげな先生の話し相手もそいつに押し付けることが出来るしな!!なかなかグッドアイディアだぞ!」


新入生が入ってくる前に部員を増やしてしまい さらにそいつに部長を押し付ける、という禁じ手を思いついた二人。しかしそこには新たな問題が・・・・

「しかし部長候補といっても上級生で知り合いはいないし 我々が伸び伸びとするんなら やっぱ同級生がベストだな。
しかし部長になってもらうからには それなりの理由が欲しいし、それでいて我々が陰で思うように操れるような、そんな都合のいい人物なんて 手近に簡単にいるわけがないよな・・・。」

・・・てぢかに・・・   あ!

その時 私とHANTの頭に「ある男」の存在が浮かび上がった。 
それが同級生でありながら なぜか我々から「先輩」と慕われている謎の男、「てじか先輩」だった。 

この男、本名が ある超大物まんが家と同姓ということで漫画家にあこがれ さらにその風貌から自らが「のび太」というペンネームを用いて クラリスのイラストを授業中にノートなんかにしたためては喜んでいる男であった。(H高校出身の人間には もうバレバレ・・・)

「確かにてじか先輩なら 一応先輩だし(?) ごく簡単に我々の操り人形として部長という大役を全うしてくれそうだが・・・。しかしいくらてじか先輩がてじか先輩でも(意味不明) 生物班なんて入部してくれるのかな?」

「うむ、おそらく気の弱いてじか先輩のことだ。ちょっと本気でこちらの誠意をみせれば断ら(れ?)ないんじゃないのか?
・・・それにあいつは TARO先生の立ち上げたアニメサークル
「あるらうね」から ヘビのようにネチッコイ勧誘を毎日受けつづけているんで 今なら精神的にだいぶ参っているはずだし。」

「・・・「あるらうね」か・・・それは嫌な奴に目をつけられたものだな・・・
まあ我々は『勧誘』などという民主的な手続きを受けずに問答無用にTARO先生に入会させられたが・・・・・
ともかく、てじか先輩をウヤムヤのうちに生物班に入部させるのは 今がチャンスということだな!!」


難問に対して一筋の光明を見出したBARAとHANTは さっそく獲物を求めて行動を開始したのだった。


************************************

教室に向かうと あっさりと獲物(てじか先輩)を発見。 運命も彼には味方しなかった模様・・・・。彼もこちらを見て我々の企みを察知したのか こころなしか怯えている様子・・・

「おい、てじか先輩!たしか先輩は何もクラブ活動には参加してなかったろ? おとなしく科学部生物班に入部して我々の部長となれ!!」

「・・・・え?科学部生物班? なんで僕がそんなクラブに入らなければいけないんだよぉ?」

必死に抵抗するてじか先輩・・

「あ!断るつもりなのか?てじか先輩のくせに生意気な・・・!
安心しろ、確かに怪しいと思うかも知れんが いちおう正規のクラブなんで TAROの「あるらうね」みたいな使途不明な部費は必要ないし クラブ活動に参加していると進学や就職活動のときには 心なしか有利かもしれないぞ!!」


(おどおどしながら)・・・・まあそこまでいうなら ちょっと覗いてみようかなぁ・・・。」

断る理由を一つ一つ我々に却下された末、ついにてじか先輩は我々の必死の説得に応じ 科学部生物班への入部に納得してくれたのだった・・・・。
さっそく彼を生物部顧問の先生の下に連行していく私とHANT。

「先生!入部希望者を連れてきました!! 部長のてじか君です!!」

************************************

進級目前にして突然 部員数が1・5倍に膨れ上がった我らが科学部生物班。先生も新たなる僕ができて
「おほおほおほ」と、うれしそうだ。
しかし冷静に考えると まだまだ弱小クラブには違いないし 新入生に体裁を保つためにも もう一人くらい部員がいてもいいんではないのか?

「あと、誰か入部しそうな奴はいないかなあ? 小さい生物とかに興味をもっていて わしらのようないい加減な実験をする奴ではなくて真面目に観察や実験のできる奴・・・。そんな都合のいい奴はそうそうおらんわなぁ。」

「たしかにてじか先輩では今ひとつ威厳がないからなあ。いかにも、って感じのメンバーが一人はいないと部活らしくないからな。」


そこで我々の頭に またひとり 「ある男」が浮かび上がった。

「おい、『ましゅら』はどうだ? チョット見ただけでは あの男はいかにも真面目な感じがするし、奴が小さい生き物が好きかどうかは知らないが 奴はロ・・・いや、小さい女の子は間違いなく好きみたいだぞ!!」(あぶない・・・)

「・・・・『間違いなく』っていうのが既に人として間違っているような気もするが・・・ 確かに彼のような人間がいると生物班も(嫌な)個性がバラエティに富むわな。
よし、早速 勧誘だ!!」


ましゅら君
・・・・別名「□」(「クチ」ではなく「平面」・・・)「Pq面」など 意味不明な仇名をいくつも持つ男であり、中学時代に散々な悪名を轟かせた「弓道部」でともに活動して以来の友人である。 ただ 見た目真面目な好青年の彼なんだが 知られざる一面があまりにも多い。
個人のプライバシーを侵害してしまう可能性があるんで 彼の逸話については詳しくは書けないが (すでに仇名でバレバレだし・・・) HCFMで一番血気盛んな いし君に 
「あいつはやばいよ!まじに怖いぞ! あれは犯罪だよ!」 とまで言わしめてしまう男である。
非常に温厚な性格で勉強も出来た彼の何が怖いのか、それはこのようなホームページでは決していえないのだ。・・・ふぅ。

そんなましゅら君をたずね、生物班への入部を強く説得する2人であった。

「ましゅらよ、下校途中に小学校の周りをうろついて女子児童をつけまわすヒマがあったら わしらといっしょに生物班で実験しようぜ!!
今なら副部長という要職も与えてやるぞ!」

「・・・おまえら、わしをどういう目でみているんだ? まあ、いいけど・・(いいのか?)」


特に入部については断る理由も無かったのか、それとも我々に己の嗜好の弱みを握られたためかはわからないが、ともかく彼は科学部生物班への入部を快諾。新入生を迎えるホンの1,2ヶ月前であったが ここに科学部生物班のメンバーはそれまでの2人から一挙に4人体制になってしまったのだ!

その後、科学部生物班は新入生を迎え さらにパワーアップ。 しかし私にはそれ以降の生物班の活動については全く記憶にございません・・・。
一つには先生の怪しげな言動を受け止める窓口が部長のてじか先輩になってしまったので 私やHANTに先生の心の叫びがダイレクトに伝わらなくなったこと。
そして新入生が我々より優秀で熱心だったため 先生もそちらのほうに期待を寄せてしまったため、などなど 様々な理由があろう。

しかし一番の理由は 部長をはじめ私もHANTも 謎の指導者TARO尊師のオタク洗脳によって 妙なサークル活動のほうに生命エネルギーを吸い取られてしまったことにあるのだ。 げに恐ろしきTARO先生・・・・

そして今日も小さい女の子の観察に励む ましゅら君であった・・・・。(なんだ?そのオチは・・・)

科学部生物班の面々
そろいも揃った科学部生物班の面々。
左からBARA、ましゅら、I先生、てじか先輩、HANT。


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